眠り ― 2005年05月19日 19:19
主人が眠りの底に落ちるやいなや「目」がしゃべりはじめた。
「おいおい見たかよ今日のアレ。すんごい乳してたよねー」
「見てねえよ」
クールにそう答えたのは「耳」である。
「え? 見てないの? ひゃーもったいない」
「もったいなくねえよ。それより、あれ聴いたか? ミョ〜ンて音」
「ミョ〜ン?」
「そう、ミョ〜ン。なんだかちょーいい感じだったなあのミョ〜ンは」
「そんなのよりボイ〜ンのほうが断然いいよ」
「相変わらず話が噛み合ってないねぇ、キミたち」
「口」が口を挟んだ。
「あー今日はほんと疲れたなあ。プレゼンでウソばっか言いまくって」
「いつものことじゃん」
目と耳が口をそろえた。
「えーそんなことないよー、ウソなんてつかないよー……おい、そんな目でオレを見るな!」
口が「鼻」に向かって言った。
「見てないよ。これ目じゃないよ」
鼻はムキになって反論したが、口はもう次の話題に移っていた。
「しっかし、今年の夏は暑いねぇ。もうしょーがないほど猛暑だねえガハハ」
ぴくっと主人のこめかみが動き、一同は瞬時にして押し黙った。
しばしの沈黙の後、やはり口を開いたのは口だった。
「あぶないあぶない、、ご主人様を起こしちまうとこだったぜ。就寝の主人をガハハハ」
鼻がとっさにいびきでごまかした。耳が口をにらみつける。
「おまえちょっとだまっとけ」
目が鼻白んだ口調で言い捨てた。口はわざとらしく歯ぎしりしている。
「ところでご主人様、なんか最近疲れ気味じゃない?」
目が話題を変える。
「夏バテだろうな。こないだも胃が弱って医者行ってたよ」
「それは酒の飲み過ぎ。それより、寝不足がいけないんだよ、寝不足が」
「毎晩、遅くまでチャットとかしてるしねぇ。3時間半睡眠じゃ、そりゃしんどいよな」
「今日なんて『稲川淳二の超こわい話』って番組、4時前まで観てたよ」
「他にいろいろとやることあるだろうに」
「本読め! 小説書け! 夜中にプログレ聴くな!」
目と耳と鼻は口々に主人を非難した。
「ところで口は……」
見ると、口は半開きのまま固まっていた。いつの間にか歯ぎしりも止んでいた。
「寝ちゃってるよこいつ」
「昼間しゃべりすぎて疲れたんじゃない」
「じゃあオレたちもそろそろお開きとするか」
目と耳と鼻は互いにおやすみの言葉をかけ合うと、安らかな眠りに落ちていった。
「『え? もう終わりなの?』『おー悪りぃわりぃ』ガハハハハ」
そんな寝言にすらもう誰も反応しないほど、夜は深く、静かに更けていった。
「おいおい見たかよ今日のアレ。すんごい乳してたよねー」
「見てねえよ」
クールにそう答えたのは「耳」である。
「え? 見てないの? ひゃーもったいない」
「もったいなくねえよ。それより、あれ聴いたか? ミョ〜ンて音」
「ミョ〜ン?」
「そう、ミョ〜ン。なんだかちょーいい感じだったなあのミョ〜ンは」
「そんなのよりボイ〜ンのほうが断然いいよ」
「相変わらず話が噛み合ってないねぇ、キミたち」
「口」が口を挟んだ。
「あー今日はほんと疲れたなあ。プレゼンでウソばっか言いまくって」
「いつものことじゃん」
目と耳が口をそろえた。
「えーそんなことないよー、ウソなんてつかないよー……おい、そんな目でオレを見るな!」
口が「鼻」に向かって言った。
「見てないよ。これ目じゃないよ」
鼻はムキになって反論したが、口はもう次の話題に移っていた。
「しっかし、今年の夏は暑いねぇ。もうしょーがないほど猛暑だねえガハハ」
ぴくっと主人のこめかみが動き、一同は瞬時にして押し黙った。
しばしの沈黙の後、やはり口を開いたのは口だった。
「あぶないあぶない、、ご主人様を起こしちまうとこだったぜ。就寝の主人をガハハハ」
鼻がとっさにいびきでごまかした。耳が口をにらみつける。
「おまえちょっとだまっとけ」
目が鼻白んだ口調で言い捨てた。口はわざとらしく歯ぎしりしている。
「ところでご主人様、なんか最近疲れ気味じゃない?」
目が話題を変える。
「夏バテだろうな。こないだも胃が弱って医者行ってたよ」
「それは酒の飲み過ぎ。それより、寝不足がいけないんだよ、寝不足が」
「毎晩、遅くまでチャットとかしてるしねぇ。3時間半睡眠じゃ、そりゃしんどいよな」
「今日なんて『稲川淳二の超こわい話』って番組、4時前まで観てたよ」
「他にいろいろとやることあるだろうに」
「本読め! 小説書け! 夜中にプログレ聴くな!」
目と耳と鼻は口々に主人を非難した。
「ところで口は……」
見ると、口は半開きのまま固まっていた。いつの間にか歯ぎしりも止んでいた。
「寝ちゃってるよこいつ」
「昼間しゃべりすぎて疲れたんじゃない」
「じゃあオレたちもそろそろお開きとするか」
目と耳と鼻は互いにおやすみの言葉をかけ合うと、安らかな眠りに落ちていった。
「『え? もう終わりなの?』『おー悪りぃわりぃ』ガハハハハ」
そんな寝言にすらもう誰も反応しないほど、夜は深く、静かに更けていった。
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